〜不動産の価格ってどうなってるの?〜 (住まいるクラブ 2001年8月号 特集記事) 今年も猛暑の予感がする8月ですが、不動産に関わることで8月といえば、「路線価」という言葉が新聞等を通じて皆さんの目に触れる月でもあります。路線価とは土地を「相続」や「贈与」で取得した人に対してかける税金の基準となる価格を「路線価」としてあらかじめ決めておく制度です。 この価格は実質の取引価格とは違いますが、一般に取引される土地の価格も反映されますので、当然、土地の取引価格(市場価格)が下がれば、路線価も下がるという理屈になります。不動産を持っている方にとっては、上がって欲しい、これからと考えている方はまだまだ下がって欲しい。不動産の価格は持つ者にとっても、そうでない方にとっても興味ある話題ではないでしょうか? ということで今回は不動産の価格についてお話をしていきたいと思います。 不動産の価格はどうやって決まるか? その1:新築物件は「コストの積み上げ」で価格が決まる 例えば「新築分譲マンション」や「新築分譲住宅」などは計画段階で予定される土地代金、建築費、設備費、販売経費、諸経費、などを合計した仕入原価を試算して、それに対して利益を上乗せして予想販売価格を設定して、その事業を行うかどうかを決定するのです。事業の大小の差はあっても、考え方は変わりません。不動産業者はその予想される販売価格が現在または将来の不動産相場に合っているか、見込まれるお客様のニーズにこたえられるかどうかを十分に調査したうえで決めることになるのです。 仕入原価のなかで一番高いのは勿論、土地です。事業の正否はいかに良い土地を良い条件で仕入れられるかで決まるともいえるでしょう。当然、高い需要が見込まれる地域であれば、少し高くても購入するでしょうし、いくら条件が良くても、あまり人気の高くない地域の土地には手を出したがらないのが普通です。また、事業を進めるのには時間がかかる場合もありますので、将来的に相場が下がることが予想されるのであればその分も考えておかなくてはなりません。 つまり、不動産業者は現在の市場で取引されている実勢価格と予想される将来の市場を検討したうえで土地を購入し、分譲価格を決めるということになりますので、新築の不動産価格が上がったり下がったりするのは不動産の価格変動を反映していると言えるのではないでしょうか。 その2:中古物件は「売主さんが決める」 中古物件や一般の方が所有している不動産は売主さんが不動産業者の意見を参考にして売り出し価格を決めます。それでは不動産業者は何を元に意見を言うかというと、実際に売れた不動産と比較してその不動産がいくらで売れるかを売主さんに助言することになります。 不動産業者は不動産業独自の情報などを使って、普段からどこがいくらで売れたのかを知っています。いわゆる「そのエリアの相場」を知っているということです。ですから、不動産を売却しようとする場合には、まず、信頼できる不動産業者を選んでアドバイスを受けることが最初の一歩となるわけです。 現在では便利になって、不動産業者はコンピューター等で遠くの場所で取引された価格を調べることもできますが、それだけでは情報不足で正確な相場を調べることはすぐには難しいものです。そんなことから不動産は地元の会社が一番と言われる所以かもしれません。 そして、売主さんの次のステップはアドバイスに基づいて売り出し価格を決定することになわけですが、売主さんにとっては自分の所有する不動産は長年住み慣れ愛着も有り、少しでも高く売りたいのが本音。そうは言っても、あまり高く売りに出しても、なかなか売れないと、今のような状況だと、気が付いたら、前よりも相場が下がって結局は思ったより、時間をかけて安くなってしまった。なんてこともありますので、慎重な決断が必要な場面ということになります。良きパートナー選びが、スムーズで満足のいく売却への近道と言えるかもしれません。 このように、新築でも中古でもようは「買いたいという人がどれだけいるか?」で価格が決まっていく、つまり、その時の需給バランスが大切ということです。 その3:自分の気に入った地域の相場を知るには 一生のうちで、何度もあることでもありませんし、高額な買い物になりますので、家を買うときにはやはり、失敗はしたくないのが当然の考えで、不動産の価格の妥当性をどうやって判断すれば良いのかは不動産の購入を考えている方にとっては重要なポイント。でもそれには近道はありません!普段からより多くの物件を見るといことが一番でしょうか、でもそのときには一定の方法で目安をつけておくのも、比較検討がし安いのでご紹介しておきましょう。 それは、中古マンションや土地を1坪あたりの単価で比較検討する材料にするのです。例えば、3000万円で売りに出されている30坪の土地があったとしたら坪単価は100万円。マンションも同じで20坪の広さのマンションが2000万円で売りに出されていたら坪単価は100万円ということです。 ただし、一戸建ての場合は建物価格が売出価格に含まれていますので、建物価格を引いた価格から坪単価を出します。建物価格については不動産営業の人に聞いてみればだいたいの価格は教えてもらえると思いますが、どうしてもご自分でという方は次のような方法もあります。 @新築物件 消費税価格から割り出せます。 例えば売り出し価格が3000万円でその中に75万円の消費税が含まれていることが確認できたら、建物価格は 75万円÷5% で計算することができます。(土地には消費税はかかりません) つまり3000万円から建物価格と消費税を引いた価格 3000万円−1500万円−75万円 が土地価格ということです。 A中古住宅 大雑把ではありますが、一般的な木造住宅ならば耐用年数は15年前後、だからその建物が築10年の木造建物だったら15年のうち10年は使ってしまったので、残りの価値は5/10ということで考えることもできます。現在、新築の家を建てるのに坪あたり60万円かかると考えて(これもかなり大雑把ですがご勘弁下さい) 60万円×建物の広さ×5/10 でその中古の家の価格が出ます。実際はその家の作りや使い方によって価格は大きく違ってきますが、正確に出さなくても相場を見るだけですので、参考にするだけならこれで十分ではないでしょうか。 このような方法で見ると、不動産の価格を比較するときに役立つのは間違い無し。例えば、建った時期が同じなのに坪単価が高いマンションと安いマンションがあったとすれば、そこには何らかの理由があるはずです、不動産営業の人に聞いたり、自分の目で確かめてみればその理由が必ず見つかるはずです。是非、試してみてください。 不動産の価格は今後どうなるのか? バブルの頃は一晩寝たら自分の家が倍になっていたというような、今では笑い話のようなこともありましたが、現在ではご存知のように不動産の価格は下がり傾向、ただし、すべてがそうかというと、そうでもありません。場所によっては若干品不足という場所も出てきていますし、物によってはいくら下げても売れないというように、不動産の価格も良い場所と悪い場所の2極化が進んでいるようです。はっきり言えるのはバブルの頃のように値上がりを目当てに不動産を購入する消費者がいなくなり、需要と供給のバランスが反映する健全な価格変動相場が形成されつつあるということだと思います。 今は皆様がそれぞれにご自分の人生設計の中で資産形成を考えたり、賃貸と所有することのメリットやデメリットを考えたり、ご自分のライフステージに合った環境を考えたりと住まいに対して何をどこに求めるのか様々な考えのなかから不動産を選ぶ時代になったといえるでしょう。それらの考えがしっかりしていれば、相場が多少上下することに一喜一憂しなくても、より「充実した住まいライフ」を送ることができるのではなでしょうか。不動産価格の相場も過ぎてみて初めて「ああ、あの時が底だったのか」とわかるだけで、いつ底になるかは誰にもわかりません、それよりも精神的に豊かな暮らしを実現することに目を向けてみてはいかがでしょうか。 不動産に掘り出し物は無し 不動産の価格について考えてきましたが、古くから言われている不動産にまつわる言葉として「不動産に掘り出し物は無し」というのがあります。つまり、不動産の価格はそれなりということです。安いのにも高いのにも理由があるということです。高額な不動産を少しでも高く売りたい、少しでも安く買いたいというのは「人情」でも価格だけにとらわれ過ぎて「木を見て森を見ず」というようなことにならないことが肝心。 自分に合った不動産こそ真の掘り出し物。何事も前向きに考えれば、おのずと豊かになれるというもの。確かに不況と言われますが、選択の幅が広がって個性の時代になったとも言われている昨今、いかに豊かに暮らすかを考えていきましょう! |