不動産についてのお役立ち情報
  〜「住宅の性能表示制度について@」〜

(住まいるクラブ 2002年11月号 特集記事)

黄色に染まった街路樹の公孫樹の葉が、冷たい風に吹かれて、すっかり道路に落ちてしまい、しばらくは緑に隠れて見えなかった景色が目に入るような季節になりました。
 11月7日は「立冬」。暦のうえでは冬に突入ですが、晩秋と冬の入り口の合間に、もう少し、この季節を楽しんでいたいような気分にもなりますね。

さて、小幅に終わった先月の小泉内閣の改造でしたが、その振り幅とは対照的に株式市場は大きく揺れ動きました。今後は、構造改革を後戻りせずに進めていくのか。国内経済の先行きがはっきりと見通せるような状態にもっていけるのか。期待と不安が入り混じった結果なのでしょうか。
不動産に関連するところでは、土地流動化策の一環として「不動産取得税」「売却したときの税金」「住宅取得資金贈与」などの税制面からの後押し強化が議論の対象になっていますが、意見が出たり引っ込んだりして、今のところははっきりしていません。住宅ローンの借入金利にも影響する経済状況とともに注目していきたいと思います。


今月の <注目 NEWS>

「中古住宅の性能表示制度スタート」

 国土交通省は8月20日付で、中古(既存)住宅の性能表示制度を開始させるために、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称「品確法」)の施行規則などを改正しました。
 この制度は、国土交通省から指定を受けた住宅性能評価機関の専門家が中古住宅の性能や維持管理状況を検査して、その内容を評価し表示しようとするもの。



<トレンド>
 日本国内とアメリカの住宅事情を比較すると、毎年の新築着工戸数はアメリカが日本の約1.5倍前後なのに対して、中古住宅流通市場の数字はアメリカが日本の約25倍も多い(概算で350万:14万)と言われています。
ここまで大きな差がついているのは、日本に比べてアメリカの中古住宅に対する検査、保証、保険などのシステムがうまく確立されていて中古住宅購入者も安心して取引できる環境が整っているからです。

日本国内でも以前から、中古市場の流通システムの整備を進めることによって、一生に一度しかマイホームを購入できないような状況から、家族のライフスタイルに合わせて何度も買い替えができるように中古市場を活性化しようと叫ばれてきました。
しかし、バブルの頃、建物はおまけのようなもので、あくまでも土地が取引の主体で、中古建物に対して正当な評価を与えて価格に反映しようという考え方は言葉では言われていても、実際に省みられることはなかったと言ってもいいでしょう。それが、最近のように土地の価格が下がって戸建住宅の住宅部分の割合が高くなったことによって、見直しが図られるようになりました。

今回の制度改正は先の平成12年に新築住宅向けに創設された住宅性能表示制度に似たものを中古住宅に導入することによって、より安心して中古住宅を購入できるようにして、中古住宅市場を活性化させようとするものです。


今月のトピックス <品確法について>

ということで、今回は「品確法」をテーマにお話しいたします。この制度は平成12年4月1日に施行された新しい法律に基づくものです。先にも説明させていただいたとおり、最初は新築住宅のみが対象でしたが、今回の改正で「住宅性能表示」については中古住宅にも適用されるようになりました。
今回の改正が8月で、少し時間が経過していますが、新築の制度も最近になってやっと浸透し始めたというところですので、これを機会に簡単にご理解ください。

品確法の新築住宅向け3本柱

 今回の改正は中古住宅についての改正ですが、この法律を理解するうえでも新築住宅しついて知っておいた方が便利なので、今回は新築住宅と「品確法」についてお話しを進めてまいります。
ちなみに「新築住宅」とは工事完了の日から1年未満のもので人が住んだことのない住宅を言います。
 この「品確法」の正式な法律名「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にも現れているように、この法律制定の大きな目的は、より質の高い住宅をより多く供給させようというものです。この目的に沿って次のような制度が創設されました。

@10年間の瑕疵(かし)担保責任
A住宅性能表示制度
B紛争処理体制の確立
次からはそのそれぞれについてみていきましょう。

その1「10年間の瑕疵担保責任」


まずは「瑕疵」について。これは欠陥や傷のことをあらわします。そして、「瑕疵担保責任」と言うと、取引の目的物、ここでは建物に、見た目ではわからない欠陥や傷があった場合に、売主または施工業者が負担しなくてはならない責任のことになります。
ただし、品確法でいう瑕疵担保責任の範囲は

@構造耐力上主要な部分
(基礎、柱、床等)
A雨水の浸入を防止する部分
(屋根、外壁、サッシ等)
になりますので、注意が必要です。対象建物に住み続けるのに支障が出るような重要な部分に限定されているわけです。

この法律ができるまでは、不動産業者を規制する「宅地建物取引業法」などで最低2年という決まりがあっただけで、その責任期間は建築会社や売主の不動産業者によってまちまちでした。この期間を最低限10年にすることが義務付けられたのです。
この10年以内に該当する瑕疵が見つかったときには売主もしくは施工業者が責任を持って直すことになりますが、最近では第三者機関に保証させるケースも増えてきています。

その2「住宅性能表示制度」

  これは国土交通大臣から指定を受けた指定住宅性能評価機関に対して設計段階で設計図書などを提出して「設計住宅性能評価書」の交付を受け、工事段階では基礎工事、棟上、内装工事前、完成時の計3回の現場検査を受けて「建設住宅性能評価書」の交付を受けるというものです。

そして、それぞれの評価書には決められたマークが必ず付いています。(見本をご参照下さい。)
性能表示の内容は検査の講習を受けた建築士が「構造の安全」「火災の安全」「劣化軽減対策」「維持管理への配慮」「温熱環境」「空気環境」「光・視環境」「音環境」「高齢者等への配慮」などを検査し、その内容を等級によって評価します。等級は評価の内容によって変わりますが、数字が大きい方が高い評価になっています。

資格をもった検査員が一定の評価基準によって等級を決めますので、共通の判断基準で第三者機関からの評価を得られます。
この制度を利用する最大のメリットは、国の規定をクリアした第三者機関が住宅の性能を設計、施工段階でチェックしますので安心できるという点です。

また、住宅金融公庫を利用する場合にはその手続きの一部を省略することもできます。
更に、冒頭にあるとおり今後は、中古住宅についても性能表示制度が少しずつ浸透していくことが予想され、新築時にこの性能評価書を受けているかいないかで、将来の売却時の価値が変わってくことも充分に考えられます。

この制度の利用は瑕疵担保責任と違って任意になりますが、建売住宅のような場合だと、後から性能評価書の交付を受けられないので、最初から売主負担で性能評価書の交付を受けているものも目につくようになりました。
更地に建物を建てるような場合には、ご自分の負担でこの制度を利用するかどうか決めることになります。
指定住宅性能評価機関はそれぞれの地域で公益法人系と民間会社系とがあり性能評価書の交付の費用としては10万円前後というところが多いようです。

※性能評価制度のマーク(見本)


その3「紛争処理」


新築住宅についてのトラブルは無い方が良いに決まっていますが。万一、トラブルが発生したときには弁護士や建築士で構成される指定住宅紛争処理機関のあっせん、調停、仲介を低料金で受けることがでます、施工会社や売主とのトラブルに対して、今までよりスピーディーに対処できるようになりました。
この機関を利用することができるのは住宅性能表示を受けた住宅だけですので、住宅性能表示制度を利用することのメリットのひとつでもあります。


「品確法」の3本柱を中心に、お話を進めてまいりました。欠陥住宅については何度も何度も繰り返し問題にされています。その度に法的整備の必要性が議論されてきましたが、ここに来て、やっと「品確法」による法整備で一歩前進したところです。
建てれば売れた時代から、より質の高い、高齢社会にも適応するような住宅の需要が高まる環境のなか。目に見えない部分への配慮や安心感を求める声は今後もますます大きくなるでしょう。また、不動産を所有する者にとっても、自分の財産を正しく評価して価格に反映させたいという望みも、やはり同じように大きくなることでしょう。そういった声に応えるようにこの制度が浸透していけば、やがては中古住宅市場も、もっと活性化することでしょう。
 次回は将来の国内不動産市況を占う「中古住宅」についての「住宅性能表示制度」についてお送りいたします。


編集後記
 都道府県が不動産鑑定士に依頼して調査する基準地価の発表が9月にあり全国平均価格は11年連続下落でした。今年も公示地価、路線価、基準地価の全てが下落。平均株価もバブル後最安値更新。そして、ハンバーグも安値更新。わたしのこずかいも安値更新。



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