不動産についてのお役立ち情報
  〜「マイホームと税金」 その3〜

(住まいるクラブ 2002年4月号 特集記事)

  4月です。入学、進級、転勤、入社と、多くの方々にとっての年の初めの月となりました。気候も一年のなかで過ごしやすい時期です。(花粉症の方にはお気の毒な季節ですが...)世間では明るくないニュースばかりが目立ちますが、最近ではあまりお金をかけなくても楽しめる遊び場も増えているようなので、気分転換にお出かけしてみるのもいいかもしれませんね。
さて、今回は最初の「注目 NEWS」で贈与税の改正案が出てきますので前々回、前回に引き続き税金のおはなしですすめていきたいと思います。前回は確定申告にまつわる内容でしたが、今回はテーマを贈与税にしぼって、より分かりやすくすすめてまいります。

今月の <注目 NEWS>

「住宅取得資金贈与の非課税枠が3000万円に!?」
自民党住宅土地調査会は2月22日に、政府がまとめる総合デフレ対策への要望をまとめた。親や祖父母から住宅取得のため資金として生前贈与を受ける場合の非課税限度枠を現行の550万円から 3000万円に引き上げるのが柱。自民党のデフレ対策特命委員会に提案した模様。

贈与税の非課税枠拡大は、導入した年から 5年間の時限措置とする。住宅投資の需要を喚起するのが狙い。このほか不動産について@5年間、登録免許税(不動産を自分の名義に登記するときにかかる)や不動産取得税(主に不動産を買ったときにかかる)を課税停止にするA新たな増設分にかかる事業所税の廃止なども盛り込んでいる。

住宅取得目的の贈与税の非課税枠拡大は、同党の麻生太郎政調会長や相沢英之税調会長が主張している。政府内にも「検討に値する」と前向きな見方があるが、 財務省は税収減になることなどから慎重な意見が強い。

「自民党山崎氏、贈与非課税枠拡大に意欲」
 
  自民党の山崎拓幹事長は3月中旬のテレビ番組で、デフレ対策の追加策の重点を税制や規制改革に置く考えを強調した。特に住宅取得資金向けとして贈与を受ける場合の非課税限度額を現行の550万円から3000万円へと引き上げる党土地調査会の提言については「実行に移すことになると思う」と意欲を示した。

<トレンド>
昨年の税制改正で非課税枠が300万円から550万円に拡大されたばかりですが、その枠をさらに大きくしようとするもの。
国内の消費を不動産購入の面から刺激しようとするものですが、特に、住宅購入を検討している層の父母、祖父母の年代は日本の高度成長期とともに、順調な会社生活を送ってきた方々が多く、年金なども安定しており老後の心配も少なく、貯蓄も比較的多くあるといわれています。

これらの資金はこの低金利時代では、運用先も魅力的なものも少なく、極端に表現すれば「眠っている資金」といえます。この資金を、贈与税をかけないということにより、消費者層に移して、不動産購入というかたちで、すこしでも、消費を活発化させようとするものです。


今月のトピックス<マイホームと税金 その3>
贈与税をうまく利用した、住み替え術!


今回は、先のニュースでも改正が検討されている「住宅取得資金贈与」を中心にお送りいたします。また、結婚してから20年を経過しているご夫婦が利用できる、通称「おしどり贈与」などの内容もまじえながら、より賢い不動産購入を考えます。

財産をもらったときには贈与税がかかります。

まずは、贈与税の概略から復習しましょう。贈与税は、個人が個人から1月1日から12月31日までの1年間に110万円を超える財産をもらったときにかかります。(会社など、法人から財産をもらったときは、贈与税ではなく所得税がかかります。)
それではこの、財産とはどんなものなのかというと、現金、預貯金、有価証券、土地、家屋、貸付金、営業権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべてが財産とみなされます。これらの財産をもらった人に贈与税が課税されます。税率は累進税率になっていて、もらう財産が多ければ多いほど税率があがるようになっています。


マイホーム売って得をした人が
マイホームを新たに買うときは?
 聞かれた方もいらっしゃるかもしれませんが「買替特例」というマイホームの買い替えの税金の優遇制度があります。これは、売って得をする金額が3000万円控除の額を大きく上回る場合に検討するべき内容になりますので、この場合には専門家のアドバイスを受けた方がいいことが多いので、ここでは3000万円控除の適用を受ける場合の注意点だけ記載します。

不動産などを安く売ってもらっても課税されます。

  財産をもらった場合のほかに、贈与とみなされる場合があります。代表的な例は次の3つです。

@ 他人が保険料を支払っていた生命保険金を受け取った場合。ただし、死亡した人が自分を被保険者として保険料を支払っていた生命保険金を受け取った場合は贈与税ではなく、相続税の対象となります。

A 著しく低い価額で財産を譲り受けた場合。

B 債務を免除してもらった場合。
不動産売買でよくあるケースとしては、Aの親族等の不動産を市場価格より安く売ってもらう場合などがあげられます。

例えば、1000万円で売ってもらった土地が市場価格では3000万円するとなれば、いくらお金のやりとりがあったとしても、売買金額と市場価格の差額2000万円をもらったとみなされて、この部分に贈与税が課税されますので注意が必要となります。

年間110万円までは課税されません。

  贈与税は親子、夫婦などの扶養義務者相互間で、教育費や生活費に充てるために贈与が行われた財産のうち通常必要と認められる範囲内のものには課税されないなどのほかに、基礎控除というものがあります。
この基礎控除は現在、前にも記載があるとおり、年間110万円です。この額は、平成12年までは年間60万円だったものが、平成13年に枠がひろがりました。
1年間にもらう財産の合計が110万円以内ならば、課税されません。

しかし、不動産を買おうとするときは、できる限りたくさんの援助が欲しいとき、せっかく親御さんやおじいさん、おばあさんが援助してくれるというのに、贈与税を課税されると、その効果も半減してしまいます。
 そこで、ある一定の居住用不動産を購入する場合に限って、一生に一度だけ、この贈与税が安くなるという恩恵にあずかれるようにしようというのが「住宅取得資金贈与」です。ちなみに、購入する不動産の条件は建物面積(登記簿上の面積)50u以上で中古の場合は木造で築20年以内、鉄筋コンクリート等の耐火建築は25年以内などの制限があります。

特例は基礎控除5年間分の先取りです。

  現行の住宅取得資金贈与では、550万円までは課税されません。  この考えかたは、マイホームを購入する場合には、基礎控除110万円を5年分、一気に使ってよろしいというものです。したがって、この制度を利用すると、この基礎控除110万円は以後4年間(住宅取得資金贈与を受けた年と合わせて5年間)はなくなります。そして、この550万円を超えた場合でも、1500万円までの部分は優遇されます。次の表は、通常の場合と住宅取得資金贈与の適用を受けた場合の比較です。

住宅取得資金贈与を受けた場合と通常の贈与税の比較
贈与を受けた金額 通常の税額 特例適用後の税額 こんなにお得!
550万円 84.5万円 0 84.5万円
1,000万円 260.5万円 45万円 215.5万円
1,500万円 505万円 105万円 400万円

  今月のニュースで議論されているのは、この特例の枠を一気に3000万円まで広げようというものです。これが実現すればかなり大きなインパクトですが、はたしてどうなることやら、この紙面が皆様のお手元に届くころにははっきりしていることでしよう!ご注目あれ!

適用されるのは実の父母、祖父母からの現金のみ。


  ここでは不動産購入後の名義について考えてみましょう。表記のとおり、この特例は実の父母、祖父母からの贈与に限られています。他人や配偶者の父母、祖父母からの贈与では適用されないことになっています。
ということは、例えば、夫婦で不動産を購入するときに、奥さんのお父さんから贈与された550万円を住宅取得資金にあてた場合には、奥さんはその不動産を550万円分、共有という形で所有しなくてはなりません。

これをしないで全部をご主人の名義としてしまうと、奥さんの550万円をご主人にあげたことになってしまい、贈与税の対象になってしまいます。これは、奥さんの貯蓄を使う場合でも同じですので、不動産の名義には必ず、お金を出した分だけ持分を入れるように注意が必要です。

おしどり贈与って何?

  おしどりといえば、鳥類のなかでも、そのつがいの仲の良さで有名です、したがって、この特例は仲の良い夫婦だけが受けられる特典です。
ただ、仲が良いか悪いかを税務署が判断するわけにはいきませんので、結婚してから20年を経過した夫婦の間では、居住用不動産そのものか、もしくは、居住用不動産を購入するための資金であれば2000万円まで、贈与税をかけないというものです。
これは、婚姻生活も20年も経過すると、たとえ、収入がなくても夫婦の財産の形成はお互いの協力があって当然、夫婦間でのこのくらいの財産移転はあっても不思議ではないというものです。なにも、2000万円でなくても、自分たちに合った、財産分与をご夫婦で考えてみるのもいかがでしょうか?

まずは、しっかりした資金計画からはじめましょう!

  さて、ここまで贈与税についておはなししてまいりましたが、この住まいるクラブでは何度も、申し上げているとおり、不動産購入では事前に資金内容をはっきりさせることが大切です。そして、この不動産取得資金贈与を受ける場合でも例外ではありません。例えばこんなこともあるからです。
「もっと早く言ってくれれば、援助してあげたのに!」「もう少し、出せたのに!」「そんな遠くに買うなら、援助はしない!」など。後悔しないように、なかなか相談しにくい内容かもしれませんが、トライしてみましょう!季節も良いし、今度の休日などはいかがでしょうか?


編集後記
 この紙面を書いている今、国内の経済情勢にも、雪ノ下から顔を出す「つくし」のように、いくつか、明るいニュースもあらわれ始めています。
 来月号でお目にかかるころには、その兆候が本当の春の到来を告げるものだったと思えればいいのですが...



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