〜「ペイオフ解禁」〜 (住まいるクラブ 2002年5月号 特集記事) さわやかな季節になりました。今年の桜の開花は全国的に1週間から10日も早く、場所によっては「桜祭り」などのイベントが中止になったところも多かったようです。同じように、梅雨入りも早く訪れるのでしょうか、最近の気候変化には心配させられることも多いですね。 今回は、4月に注目された話題「ペイオフ解禁」について触れてみたいと思います。この話は、直接的には不動産には関係ありませんが、不動産を金融商品(資産)としての側面からみると、今までと違った目で不動産市場の動きをとらえることができますので、ぜひご一読ください。 今月の <注目 NEWS> 「中古不動産市場にペイオフ解禁の影響」 不動産物件情報や取引情報を主に扱う(株)アットホームが3月末に発表した首都圏中古市場動向によると、2月期はペイオフの解禁を控え、中古マンションの全成約件数のうち、投資需要が比較的多い1000万円未満の物件シェアが過去最高の21.7%を占めた。地域別でみても、投資需要の多い東京23区の成約件数が前年同月比4.8%増と他のエリアと比べ高い増加率となり全体の数字を牽引した。中古マンション成約件数のうち1000万円未満の物件シェアは、前年同月比8.0ポイント上昇し、21.7%となった。1000万円刻みの価格帯別では最も高い増加率。
<トレンド> ペイオフについては新聞紙上を中心に3月から4月にかけてたくさんの解説や記事が掲載されました。不動産に関連するところでは、分譲マンション全体の補修費用としてプールしてある「修繕積立金」も金融機関破綻のリスクを考えて運用しなければならないという記事が印象的でした。 今回の記事は、中古マンション取引価格の下落も手伝って、万一の場合に備えて、個人の投資家や資産家がリスクを分散するために、不動産にも資金をシフトさせてきていることを象徴しているといえます。 今月のトピックス <金融商品(資産)としての不動産> 銀行の預金金利は超低金利時代 4月のペイオフ解禁の後を追うように、某大手銀行の普通預金の金利が0.001%になるというニュースが報じられました。ニュースの解説では、ペイオフ解禁にともない、安心感がある金融機関に預金が集中して、そういった銀行では資金が余ってしまい、今以上の預金は必要がないので、金利を下げたということでした。 ちなみに、普通預金よりも金利が高い、スーパー定期と呼ばれている某大手銀行の定期預金でも0.02%の金利です。 さて、ここでいう金利とは預金に対して1年間でもどってくる利子の割合です。つまり1000万円をこのスーパー定期に1年間預けておくと。2000円の利子がもらえるということです。この割合のことを「運用利回り」とも表現します。 今、某都市銀行のスーパー定期(0.02%)に預けると。 1000万円×0.02%=2000円 の収入があり 2000円÷1000万円×100 =0.02% の利回りがある このように、金融商品と投資効率をあらわす数字として、利回りという割合(%)を使います。 でも、1000万円もの大金を預けたとしても2000円ですよ!この現実をどう納得すればよいのでしょうか? 不動産も利回りで表現することができます。 利回りとは、投資したお金に対して、1年の間にもどってくるお金(収入)の割合を表す。ということをご理解いただけたかと思います。 実は、不動産の価格も、この利回りで考えることができます。先ほどと同じ1000万円をもとに考えてみます。ある人が、マンションを1000万円で購入したとしましょう。そのマンションを人に貸したとして、家賃収入(経費控除後)が年間100万円あったとしたら。利回りは10%ということになります。 100万円÷1000万円×100 =10% の利回りがある ということで、このマンションは利回り10%の金融商品として考えることも可能なわけです。 投資とリスク ただし、これらのスーパー定期と不動産の利回りを考えるうえで、考慮しなくてはならいのが「運用リスク」です。定期預金は1000万円を超えても、預けた銀行が破綻しない限りは、元本と金利は保証されています。一方、不動産の場合はどうでしょう? いくつかのリスクを考えなければなりません。例えば「家賃が下がるリスク」「借りたい人がみつからないリスク」「必要費用のリスク」「値下がりのリスク」などです。つまり、先ほどの運用利回り10%というのはあくまでも「予想利回り」であって、実際の利回りは最後に売却したときに確定します。また、売却には時間がかかりますので、即現金というわけにはいかないのは、預金などと大きく違うところです。 不動産は投資するにはリスクが高すぎる? そんなにたくさんの「リスク」があるのでは、いくらお金があっても不動産に投資するのは危険すぎると思われる人も多いでしょう。でも、逆にいうとこれらの「リスク」は「値下がりのリスク」以外は事前に予想できることなので、必要経費の一部として、当然かかるべき費用とみなすこともできます。実は、金融先進国の米国では、この経費の管理がしっかりしていて、不動産は比較的リスクの低い安定した金融商品と考えられることが多いのです。 不動産は高い利回りが期待できる? 先ほどの例に、予想経費を上積みして考えてみましょう。例のマンションの1年間の収入は100万円。でも、長い目でみると、家賃は下がるかもしれませんし、借り手が変わるときにはすぐに入居者がみつからないかもしれませんので、収入は70%にしておきましょう。それから、入居者が出て行くときにはリフォームが必要になるかもしれませんので、これも年10%積み立てておくと考えましょう。そうすると1年間の予想収入は 100万円−{(100万円×70%) +(100万円×10%)}=60万円 これを利回りあらわすと 60万円÷1000万円×100=6% 安全に見積もっても6%の利回りは依然として高い水準です。 値下がりのリスク 運用している間は安定した収入がありますが、最後は「値下がりのリスク」も考えなくてはなりません。毎年60万円の収入が予想されるこのマンションを10年後に売却したら、半分の500万円になってしまったらどうでしょう。10年間の収入の合計が600万円、売却で得られる収入が500万円でトータル1100万円が最終的な収入となります。1000万円の投資に対して10年間で100万円の収入なので、10年で10%、年平均1%の投資効率ということになります。 10年後の不動産市況を予想することは誰にもできませんが、場合によっては投資額を下回ることもあるということです。 不動産投資は長期的に考える 実はこの「値下がりリスク」は、長期的に考えることで軽減できるのです。1年の収入が60万円だと、これを17年間運用すれば1020万円で、投資額を上回ります。どんなに不動産が下がっても、ゼロということはありませんので、売却分だけ上乗せということになります。 値下がり幅が少なく、収入が増えればさらに短い期間で投資金額を回収することが可能になるのです。でも、10年後に不動産が今の半分の価格になるとは、あまり思えませんが、皆様のご意見はいかがでしょう? インフレヘッジ 不動産の大きな特徴として、インフレに強いこともあげられます。インフレになると、お金の価値が下がり、物価が上昇します。物の価格が上がるということは、普通は不動産の価格もあがるので、現金を持っているだけだと価値が下がっていきますが、不動産で持っていれば、インフレになっても怖くないということになります。(インフレヘッジができるともいいます。) 株式投資などもそうですが、不動産はインフレには強い側面があります。 家賃は下がりにくい? 不動産投資の収入源の家賃についても考えてみましょう、前のところでも「家賃が値下がるリスク」をあげました。確かに現在の家賃は下降傾向ではあります。特に、需要の低い事業用賃貸物件などは、家賃を下げてもなかなか、借り手がつかないことも多いようです。住宅の家賃もやっぱり下がり傾向です。条件の悪いところの空き室は以前よりも目立っています。 でも、バブル最盛期の家賃を思い出してください。??? いかがですか?当時6万円だったワンルームや10万円だった一戸建て住宅の家賃は半分になっていますか?土地の価格は3月末に発表された公示価格でもわかるように、バブル最盛期の半分以下のところもたくさんあります。 ところが、家賃は半分にはなっていないと思いますし、場所や設備内容によっては高くなっているところはありませんか? その要因は、好景気のときは、アパート、マンションを建てる人が多くなるため、賃貸住宅の供給量が増えます。すると競争相手が多くなり、自分のところだけ家賃を上げるわけにはいかなくなります。逆に、不景気のときにはアパート、マンションを建てる人が少なくなります。新築などの人気のある物件はそんなに増えません。となると新しくなくても、しっかりとメンテナンスされて条件がよいところは相変わらず人気が高く、家賃を下げなくてもすむということです。このように住宅の家賃は、以外と景気に左右されにくいのです。 低金利時代の有望な投資先? 不動産を金融商品という側面からみてきましたが、このように不動産は長期的考えると、安定した、金融商品ともいうことができます。冒頭の記事にもあるように、手軽な投資金額とされる1000万円以下の動きにも少し変化がみられますが、市場では予想利回りが10%を超えるような不動産は比較的早く、買い手がつく状況が続いています。計画的なリスクを想定した不動産投資ならば、非常に安全な投資先のひとつになり得るのです。バブル期には、このリスクは全て、土地価格が上昇することを前提として無視されていました。今、やっと不動産市場が再評価されつつある状況ではないでしょうか。 まず、手始めに足元から!借りている方はご自分の家賃の変化を考えてみたり、不動産を所有されている方は、もし、貸した場合は、いくらぐらいで貸せるのか、いくらくらいで売れるのか、そんな身近なところから、考えてみてください。 不動産に投資をしよう!というのではありません。ご自分が不動産を借りたり、貸したり、買ったり、売却したりするときにちょっとしたヒントになるのは間違いありません。今がチャンスかもしれませんよ! こういったお話に興味をお持ちの方は、不動産営業担当者に質問しましょう!家賃相場や人気の程度などは、なんといっても地元業者でないとわかりません。今回の話はこれがしっかりしていないと、すべての計画が絵空事になってしまいます。お気軽にご相談を! 編集後記 前回の住宅資金贈与3000万円の話は継続審議で来年度以降の導入検討ということになるようです。今の住宅税制が優遇されていることもあって、今回の改正ではこれといって大きなものはありませんでした。来年の税制改正を期待するよりも、今年の景気回復を! |