不動産についてのお役立ち情報
  〜「住宅ローンについてA」〜

(住まいるクラブ 2002年7月号 特集記事)

 ワールドカップで始まり、ワールドカップで終わった6月も過ぎ、いよいよ夏本番。冷夏は景気に悪影響を与えるともいいますので、あまりにも暑すぎるのは困りますが、ほどほどに暑い夏を期待したいものですね。

 さて、今回は前回に引き続き「住宅ローン」のお話を中心にお送りいたします。すでに1ヶ月あまり前の出来事になってしまいましたが、アメリカの格付け会社が日本の長期国債の格付けを2段階引き下げると発表しました。今のところは価格の大幅下落はみられませんが、まだまだ安心はできません。
前回でも触れましたが、住宅ローンの借入金利は様々な経済状況にともなって上下します。一度借りると、何十年と返済を続けていくことになる住宅ローン。うまく借りて、より豊かな生活を実現するためのヒントとしてお読みいただきたいと思います。



今月の <注目 NEWS>

「住宅金融公庫の金利引き下げ」
  住宅金融公庫(6月6日発表)はマイホーム新築、建売住宅・マンション・分譲住宅・リユース(中古)住宅購入、リフォームが対象の融資金利(基準金利)を現行より0.1%引き下げ、それぞれ2.60%、2.70%、3.20%に変更した。また、特別加算の融資金利についても現行の3.70%より0.1%引き下げて3.60%となった。
 なお、今回の改正による新金利は、第1回募集開始日の4月22日に遡って適用される。

<トレンド>
  民間金融機関、住宅金融公庫ともに5月からの動きとして、金利の引き下げが行われました。住宅ローン金利も、ここしばらくは景気の動きと同じように一進一退が続くと予想されています。

今月のトピックス <住宅ローン その2>
住宅ローンをうまく使って、より良い住み替え。
 
  それでは早速、お話をすすめてまいりましょう。
前回は住宅ローンの金利の動きや返済方法などが中心でしたが、今回は固定金利の代表選手「住宅金融公庫」のお話を中心にしたいと思います。
今さら!と思われる方も多いでしょう。当「住まいるクラブ」でも、小泉内閣の構造改革の一貫として公庫の廃止が検討されたときに特集を組んでいます。
そこで、今回は大きな変更点「すまい・るパッケージ」と住宅ローンを借りるときの費用を中心にお送りいたします。


すまい・るパッケージとは?

  「すまい・るパッケージ」は今年度から公庫の融資額が縮小したことにともない、足りない分を民間ローンで補うために公庫と民間金融機関(民間部分の金利や条件は通常と同じ)が共同で扱う「協調融資」のことです。
つまり、官と民でお互いに足らない部分を補い合う住宅ローンということです。
公庫は本年度から、年収によっては購入価格の5割までしか借り入れできなくなるなど、全般的に融資額が大幅に減りました。これを民間が補い、公庫と民間を合わせて住宅価格の8割まで、民間分は公庫と同額まで借りられるようにしてあります。
この制度を利用する場合は協調融資を扱っている都市銀行や信託銀行の一部、労働金庫などで公庫と同時に申し込むことになります。

  余談ですが、公庫は今年度から中古住宅のことを「リユース」に名称変更しました。中古という言葉の持つイメージがあまりよくないことからでしょうか?「すまい・るパッケージ」とともに新しい言葉が一般に浸透するか否かはこれから。皆様の予想はいかがですか?


すまい・るパッケージのもうひとつの特徴
  借入額の不足を民間が補うことがこの協調融資の大きな特徴ですが、もうひとつの特徴は、この融資を借りる人の住宅や借入条件の審査は公庫が行い、万一、返済が滞った場合でも公庫が各金融機関に借入元金を保証することになっている点です。

  民間は貸し倒れの心配がありませんので、公庫の審査が通れば安心して融資を行うことができるということです。ただし、公庫も貸し倒れリスクをただで負うわけではありません。金融機関は公庫に対して住宅融資保険の保険料を支払う仕組みになっているのです。この保険料は借入期間が長く、借入金額が多くなるほど高くなります。

保険料の負担は誰がする?

  それではこの住宅融資保険の保険料は誰が負担するのでしょうか?
「当然、民間金融機関でしょ!?」と思うことなかれ。
今のところ3パターンに分かれますので注意が必要です。
@ 保険料相当額を事務手数料として利用者から徴収。
A 事務手数料(数万円程度)は一律だが、借入金利を通常より高くする。
  (例:通常住宅ローン金利プラス0.3%上乗せ)
B 事務手数料(数万円程度)のみ徴収。

  具体例を挙げると。1000万円を25年返済で借りた場合の保険料は34万7600円です。@の方式を採用している金融機関とBの方式を採用している金融機関では、30万円前後!!もの差がついてしまうことになります。


横並び時代とはお別れ!

  このように、同じ協調融資といっても利用条件は金融機関によりかなり差が出ます。
また、協調融資は各金融機関が独自に行う、金利優遇キャンペーンの対象外としているケースもあるので、協調融資を利用するか、通常の住宅ローンを借りるかもよく比較してから選ぶようにしなくてはなりません。

  今までは、どこの金融機関でも条件は変わらなかったので、利用する金融機関もあまり気にせず決められていましたが。現在ではこの公庫との協調融資にみられるような費用面の差や金利、ローンの種類(変動、固定、固定期間選択型)などを比較したうえで、自分に合った計画をたてる必要があります。


民間金融機関を利用するときの費用


毎月    :5,201円
総支払額:1,560,300円

借入金額が2000万円になると支払額も差額も倍になります。また、同じ条件でも返済期間が延びると差額が大きくなります。金利が1%違うと、大きな差となって支払額に影響するか実感していただけるかと思います。

今後の金利の動きは?

  今後の金利を考えるためにも、住宅ローンを借りる人に大きな影響を与える借入金利が上下する理由も知っておきましょう。
住宅ローンの金利は景気と密接な関係があります。一般的に景気が悪いとお金を必要とする優良借入先が少なくなり、金融機関にとっての資金の安全な運用先が減ることになります。資金の借手市場になって、借入金利が下がることになります。
 
 また、国の政策としても、景気が良くないときは、できるだけ多くのお金を市場に送り込み、少しでも多くの人にお金を借りたり使ってもらうために、国が銀行にお金を貸し出すときの金利(公定歩合)を下げます。この結果、金融機関がお金を調達するコストが下がるので、銀行の貸出金利も下がります。こういったことから、通常は景気が悪化すると住宅ローンを含めた借入金利が下がります。

 景気が良くなると、これとまったく逆の現象が現れます。金利が高くても借りたい優良借入先が増え、国は物価が上がり過ぎないように、市場のお金を減らそうとして公定歩合を上げますので、銀行の貸出金利は上昇します。
住宅ローンの金利を考えるということは、今後の景気がどう動くかが大きなポイントのひとつになるのです。


国債の格下げ??に注目?

  住宅金融公庫と民間金融機関の協調融資「すまい・るパッケージ」の概略についてお話ししてきましたが、協調融資を利用する場合には事務手数料という名の費用面での比較が大切になります。
それではこれからは、住宅ローンを利用する場合の比較として大切なその他の借入費用についても考えていきましょう。

住宅ローンを借りる場合の代表的な費用は 
@ 事務手数料
A 収入印紙代金
B 火災保険料
C 団体生命保険料
D ローン保証料
です。

@ 事務手数料については公庫との協調融資以外は数万円前後のケースが多いようです。
これは各金融機関で若干の差が出ます。
A 収入印紙代金は借入金額によって契約書に貼る収入印紙(国税)の負担額ですので、どこの金融機関を利用しても差は出ません。
ちなみに、借入金額が1,000万円を超えて5,000万円以下の収入印紙代金は1借入先につき20,000円になります。
B 火災保険は、購入する不動産の家屋部分にたいする保険になります。
万一、家屋が火災の被害にあったときに、借入金の一部(家屋部分)に保険をかけておくもので、住宅ローンを借りる場合には必ず加入することが義務付けられています。
この保険は銀行ではなく、保険条件と保険会社によって変わってきますが、各保険会社でも大きな差はありません。
例としては、関東圏で木造住宅に対して保険金額1,500万円を25年程度かける場合は保険料が10万円前後になります。

また、火災保険と同時に任意で地震保険に加入することもできます。
C 団体信用生命保険は借り入れをする人が万一のときに、ローンの残りが全額保険金から支払われるものです。
任意の場合もありますが、住宅ローンを借りる場合にはほとんどの方が加入することになります。
民間住宅ローンの場合だと、毎月の支払額に上乗せしてありますので、保険料を支払っているという意識は借入者にはありません。目に見えない経費と考えてもいいでしょう。
ただし、公庫を利用する場合には毎年の借入残高に対して保険料が計算され請求されますので、毎年請求額を支払います。
経験されている方も多いかもしれませんが、住宅ローンを借りるときに生命保険加入のための告知書を作成するのはこのためです。
D ローン保証会社に借入の保証人になってもらうために必要な費用がこのローン保証料です。
昔は住宅ローンを借りる場合に保証人がいないと借りられませんでしたが。今も昔も保証人を探すのは、借入者にとって気が重いものですし、保証人となる方も精神的に大きな負担に感じる人も少なくないでしょう。
この負担を無くして、気軽に借入ができるように、万一、借入が滞った場合でも銀行に対して返済の肩代わりをするのが、ローン保証会社です。
このローン保証料は金融機関によっては不要というところもありますが、その分借り入れ金利が他の借入金利よりも高く設定されていることもありますので注意が必要です。
例としては1,500万円を借り入れて、これを25年で返済する場合、20数万円という保証料がかかります。



  以上、今回は「すまい・るパッケージ」から住宅ローン費用について考えてきました。費用面だけでも利用する金融機関によってわりと大きな差が出ることを感じていただけたかと思います。また、最近では民間金融機関でも長期の固定金利の商品を用意しているところも出てきて、さらに選択の幅が拡がってきています。
専門家のアドバイスを受けながら、皆さんのライフスタイルに合ったより良い借り入れを!


編集後記
 もう何年も前の話ですが、友人が海外で暮らすことになったので、当時ではめずらしい某外資系金融機関に口座を開設して数万円預けたところ。口座維持手数料を取られるのを知らなくて、いつの間にかお金がなくなってしまっていたそうです。その時の友人がだまされたと言ってだいぶ憤慨していたのを思い出しました。今では国内の金融機関でも取られるところもあり、不思議にも思いませんが。当時としては国内の金融機関では考えられないことだったと記憶しています。
 住宅ローンもメインバンクも消費者が自ら選択する時代ですね。



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