不動産についてのお役立ち情報
  〜「税制改正、これからの1年は?」〜

(住まいるクラブ 2003年1月号 特集記事)

明けましておめでとうございます!2003年の幕開けです。初詣、おせち料理、里帰り、おとそ、正月遊び。今年は何年か経ってあの年は好い年だったと思い出せるような年になることを願いつつ、しばしこの雰囲気を楽しみましょう。

年末年始には、新聞やテレビなどのマスコミで「2002年の10大ニュース!」などを振り返っているようですが。サッカーワールドカップでの日本や韓国の活躍など、思わず元気が出るようなニュース。宇多田ヒカルさんの結婚のようにちょっとびっくりするようなニュース。辻元さん加藤さんや田中さんと辞めた人。鈴木さんのように辞めない人など政治関連のどたばたニュース。日朝関係、道路公団改革、日本経済、イラク情勢など、これからが心配なニュースなど様々でしたが。皆様にとって印象深いニュースにはどんなものがありますか?

また、皆様にとっての「ビックニュース」にはどんなことがありましたか? お正月は、去年の楽しかったことを思い出しながらほろ酔い気分といきたいですね。
それでは今回も、不動産についてのちょっとしたアイデアやヒントを交えてお送りいたします。



今月の <注目 NEWS>

「今年度の住宅取得関連の税制改正議論花盛り」

 自民党税制調査会は12月に入り、平成15年度の税制改正で、贈与税と相続税を一体化する仕組みを導入したうえで、生前贈与に対して、2000万円までの非課税枠を設ける方向で調整に入った。この新しい非課税枠を設定するのと同時に、現行の住宅取得資金を対象とした贈与税の550万円の非課税枠は、廃止の方向で検討する。政府・与党としては12月中に税制改正大綱で結論を出す見込み。

一方、国土交通省からは住宅取得資金贈与を3000万円に拡大し、登録免許税と不動産取得税の税率を現行の2分の1にするという要望が発表されている。また、贈与税の非課税枠の拡大は財務省でも検討されていて、原案によると非課税枠が1000万円とされ、年齢制限や相続税との一体化が検討されている。


<トレンド>
国土交通省案
:非課税枠3000万円

自民党案
:非課税枠2000万円
:相続税との一体化

財務省案
:非課税枠1000万円
:相続税との一体化、年齢制限

住宅取得資金贈与については、「住まいるクラブ」でも何度か取り上げてきていますが、住宅を取得しようとしている人が実の親か祖父母からの現金の贈与を受けるときに限って贈与税の優遇を受けられる住宅取得促進税制のひとつ。現行では550万円までは非課税で、1500万円までは優遇されるという内容。
 この非課税枠を拡大しようという議論は昨年からされてきましたが、平成14年度に関しては改正が見送られたという経緯があります。デフレ傾向がいっそう深刻になるなか、少しでも土地を流動させる土地税制の目玉として、平成15年度については改正される見通しが強まっていて、今はその具体的な額や方法が議論されている状況。


今月のトピックス <これからの1年は?>

今月はいつもと違って、未確定のものを予想しながら進めていきたいと思います。今月の注目ニュースにもあるとおり、住宅取得資金贈与の改正は、現状では議論されているだけで、改正が決まっているわけではありません。でも、今回は非課税枠の拡大は間違いなくされるようなので、税制改正などの影響も含めて、最近のニュースから、これからの不動産市況を占ってみましょう。

なぜ非課税枠拡大が議論される?

 政府推計では2020年には国民の4人に1人が65歳以上になるとされています。そして、高齢化に伴って、世界第2位、1400兆円の日本国内個人金融資産の分布も高齢者に偏る傾向が年々強まっています。
その表れとして、総務省の貯蓄動向調査をもとにした財務省試算によると、2000年には家計貯蓄全体の53%を60歳以上の世帯が占めるまでになっています。

また、相続によって子が財産を取得する年代の高齢化も進み、50代や60代での相続も一般的になってきているので今後はさらにその傾向が強まると考えられています。
本来であればこれらの高齢者の方にたくさんお金を使ってもらえば、個人消費が上向き景気回復につながるのですが、すでに住宅などの資産取得は済んでいたり、先行不安から、少しでも節約して貯蓄を減らさないように努力したりで、なかなか個人消費につながりません。そこで、言葉は好ましくありませんが、滞留資産を一番お金を消費しなくてならない年代に移行させようとするのが、この贈与税の非課税枠拡大の大きな目的です。「あまり使わない人から使う必要のある人へ」というところでしょうか。

生活費や教育費など、必要な消費で手一杯で、なかなか余裕が生まれず、将来に備えて少しでも節約しようという世代に積極的にお金を使ってもらおうとする税制面でのバックアップです。


住宅の需要が高まる?


(社)不動産流通経営協会(FRK)が平成14年6月に実施した首都圏での消費者動向調査によると「住宅の購入資金の調達方法」について、「親族等からの贈与」を受けた回答者は全体の17.4%で、1人当たりの平均贈与額は619万円。このうち非課税限度枠である550万円の贈与を受けた人は14%。一方で550万円を超えて贈与を受けた人も32%にのぼり、贈与資金が住宅取得に大きな役割を果たしている様子がうかがえます。非課税枠が拡大すれば、以下のようなことに好影響あると考えられます。

@相続税対策
A買替えに伴う売却損への充当
B購入価格への上乗せ
C新規需要

@は資産家が将来発生する相続時において、少しでも財産を子孫に移行させておくことによって、課税財産を少なくさせるためにこの制度を利用する人が増える。

Aは売っても、買ったときに利用した住宅ローンを返済できず、売ろうにも売れないという人が親や祖父母の協力を得て、新規に住宅ローンを組み直し、買い替えをする人が増える。

Bは資金の援助を受けることにより、より好条件で高額な不動産に目を向ける人が増える。

Cはこれを気に、自己資金が貯まるまでまとうと思っていた人が購入に目を向けるようになる。
などで、急激なうねりにはならないまでも、影響は大きいと考えられます。


土地の価格が上がる?

  国土交通省がまとめた「地価と土地の所有権移転登記(売買)件数の推移」のデータによると、東京都の土地取引件数が2000年に15万9499件、2001年に15万4635件と、2年連続で15万件を超えています。これは80年代〜90年代で最も多かった86年の15万3183件を上回ってもいます。取引件数は増えています。

 また、毎年発表される公示地価や路線価も場所によっては上昇するか下落幅が縮小していますが、下落幅が拡大した場所もたくさんあります。
これらのことから予想されるのは土地価格の2極化がさらにすすむということでしょう。
 これからは利便性、収益性、人気、将来性などの高いところに需要が増え、場合によっては上がることも十分に考えられます。
土地選びは色々な条件を加味しながらのプロの目がもっと必要になってくるでしょう。


インフレになる?

12月に財務省の高官2名が連名で、デフレ状況を脱するために、「インフレ目標」政策を日本銀行が明確な形で導入するよう求める論文を英国の新聞に寄稿したという記事が国内の新聞に掲載されました。それに対して、速水日銀総裁は否定的な見方をしているともいわれています。
 今までは物と土地の値段は上がることがあっても下がることはないと信じられてきました。
しかし、今は過去に例のないデフレを世界の多くの国が経験していて、経済の専門家も株価や失業率に右往左往している観があります。

 物の値段が下がれば私たちの生活も豊かになるはずなのに、不況の循環がとまりません。だからといってインフレが良いとも言えません。もしかしたら物の値段は上がるけど、収入が上がらず生活が苦しくなることも十分に考えられます。住宅ローンなどの借金を抱えている人間にとってはお金の価値が下がることには歓迎ですが。今までのような状況とは違ったインフレの形がやってくるかもしれません。
 ここでは、予想というより希望として景気回復にともなって緩やかにインフレになることを望みたいと思います。それによって、土地の価格も実需にあったバランスの良い取引が活発になることも考えられます。


住宅ローンが借りやすくなる?

実質上のリーダー竹中大臣を中心とした経済財政諮問会議が発表した不良債権処理策が金融機関等の大きな反発を受けながらも、少しずつ進み始めました。不良債権処理はさらに金融機関のリストラや貸しはがしを促すかもしれません。そんななかで、金融機関にとっては住宅ローンは比較的安定して金利が稼げる、おいしい貸し出し先になっています。そこで、住宅ローンの貸し出しに一層力を入れてくる金融機関が増えてくるでしょう。
すると競争が激しくなり、借りる側からみると条件が良くなって、借りやすくなることが予想されます。融資条件、年数、金利とますます商品の多様化が生まれ、選択の幅が広がるでしょう。

最近のニュースを基にして今年の不動産市況の動きを考えてみましたが、皆様のお考えはいかがですか? 今以上は悪くならない!
いやっ、これからは予想がつかないのでもっと悪くなるかもしれない!など意見はざまざまかと思います。
 住宅ローンの金利も最近また下降ぎみですし、取引件数も多いので比較的マイナス要因は少ないので、1次取得者層にとっては引き続き有利な年になりそうですが。買い換え層にとっては急激な変化は望めそうもありませんので、贈与税の非課税枠などを活かしながらこのデフレ時代をうまく乗り切りましょう。


編集後記
 個人的な感想としては、一昨年の9月11日の同時多発テロから暗くて、大きなニュースが増えているようでしかたありません。イラク情勢の如何によっては石油価格の高騰による世界同時不況なども考えられなくもありません。アメリカ、イラク、北朝鮮、中国、イスラエル、アフガニスタンと新聞やテレビでは世界がどんどん狭くなっていますが、自分の周りだけはあまり代わり映えがしないような......



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