不動産についてのお役立ち情報
  〜「リバースモーゲージについて」〜

(住まいるクラブ 2003年4月号 特集記事)

日経平均株価は10,000円を超え、更に連日高騰を続けています。失業率も回復に向かい2%台に突入。銀行の不良債権処理にも目処がつき邦銀もやっと一息ついて、日本経済は一時期の勢いを取り戻しました。また、世界情勢も安定し、中東やアジアも平和的な対話が行われるようになりました。
ということは、決して無いことはわかっていますが、4月1日はエイプリルフール。心配させられるニュースばかりが目立つこの頃、これくらいの希望的な「うそ」は許していただけるでしょうか?

「4月馬鹿」などとも訳され、軽いいたずらやもっともらしい嘘をついて人をかついでもいいというエイプリルフールの習慣は日本では大正の頃から少しずつ広まりましたが、欧米ではだいぶ古くから馴染みのある習慣として多くの人々の間で楽しまれています。日本人は人を誉めることや冗談を言うのがあまり上手ではないとよく言われますが皆様はいかがでしょうか。一年に一度くらいは、軽い冗談で、しばし、笑い合ってみるのもいいですね。でも、やり過ぎにはくれぐれもご注意を。

さて、今回は将来の普及が考えられる、今までにはあまり耳慣れない内容について触れていこうと思います。エイプリルフールの「うそ」のように人々の記憶からすぐ、忘れ去られないことを願いながらお送りいたします。




今月の <注目 NEWS>

「リバースモーゲージについての報告会が開催される」

 内閣府の経済社会総合研究所の主導で行われた高齢化に伴う社会補償制度改革や財政再建問題などをテーマに話し合われる国際共同研究プロジェクトの報告会が2月中旬に開催され、そのなかの高齢化社会に向けてのひとつのテーマとして「リバースモーゲージ」について、アメリカ、オーストラリアからのゲストを交えて意見交換が行われた。

「物価連動型ローン導入が検討される!?」

 財務省は来年から発行する物価連動型の国債で集めた資金の運用先のひとつとして物価の動きに連動して住宅ローンの借入元本と利息が増減する「物価連動型の住宅ローン」を住宅金融公庫で導入できるかどうか検討を始めている。




<トレンド>
 リバースモーゲージは1980年代から90年代にかけて、一部自治体で導入されてはいますが、現状では広く普及するというところまではいっていません。また、物価連動型住宅ローンについてはやっとその内容が考えられるようになったばかりで、今のところはどうなるのかも皆目見当もつきませんが、両制度とも
「高齢化社会」「デフレ経済」という現在の日本における大きなふたつのテーマを考える上で、今後は真剣に議論される必要がある内容といえます。
リバースモーゲージとは?
 自分が所有する不動産を担保にして、自治体や金融機関から毎月生活資金の融資を受け、死亡した場合には担保にしていた不動産を売却して借入金を一括返済するシステムのこと。




今月のトピックス <リバースモーゲージと物価連動ローン>

高齢化社会に向けて年金制度改革、医療保険制度改革と政策的な制度改革ととともに、個人的な老後の生活設計が重要視されています。また、最近ではデフレ傾向をどうやって打開していこうかとうことも大きなテーマとなっています。今回のトピックスの両者の仕組みは、今のような環境下で、不動産をうまく活発に動かすものとして研究が進められているものです。将来のちょっとした仕組みや経済状況の変化で魅力あるものに変わるかもしれませんので、頭の片隅にほんの少しおいてはいかがでしょうか。


リバースモーゲージと住宅ローンとの違い

 まずは、リバースモーゲージ(RM)の仕組みについて、もう少し詳しく見て行きましょう。言葉の意味からいうと「リバース」は「逆」、「モーゲージ」は「抵当融資」ということです。ということは簡単に考えると通常の「住宅ローン」とは逆のパターンでお金を借りることと考えてください。
通常の住宅ローンは最初にお金を借りて、毎月の利息と一緒に元本も返済していきますので、借入元本は少しずつ減っていき最後には完済ということになります。一方RMは毎月一定の額が自治体や金融機関から融資されて、どんどん借入額が増えていくというものです。





最後は不動産を売却して借入額を返済

住宅ローンを利用して、不動産を購入して返済を続けた場合は最後には借入金がなくなり、晴れてその不動産が完全に自分のものになるというイメージですが、RMは自宅を担保にして少しずつ自分の家を切り売りしていくというイメージでしょうか。
 実際には不動産を切り売りすることはできませんので、最後に一括して今まで借りた金額とそれにともなう金利を売却することで一気に返済しようというものです。



どのくらい貸してもらえるのか?

それでは、いったいいくらい借りられるのでしょうか? 現在、日本国内では一部の地方自治体、もしくは関連の財団法人や公社がこの融資を取り扱うだけですので、住んでいる場所によって条件が違ってきます。申込者の年齢を70歳前後に制限して、毎月の融資額は10万円〜15万円で、そのお金の使い道は生活費や医療費。住宅の補修・改良費に限られるという条件を設定しているところが多いようです。そして、融資総額の上限は、これも住んでいる場所によって違いますが、例えば、戸建の場合は更地にしたときの土地評価額の70%まで、マンションの場合は50%までというような上限が定められています。



RMの利用者のイメージ


借入金が残っていない自宅を所有している高齢者の方で以下のような条件にあてはまる方が対象として考えられます。
・自宅はあるが現金がない。
・子供がいない、もしくは子供からの資金的援助が考えにくい。
・同居人がいない、もしくは夫婦二人だけの生活。
・年金だけでは生活がきつい。
 RMを利用する場合の一番のメリットは、自宅を売却せずに、長年住み慣れた環境で生活ができて、毎月の生活費も得られるということです。


借り手側の問題点

@相続人の了解が得られるか
A貸し手側の条件変更や破綻
B長生き対するリスク
C担保にならない不動産もある
RMは利用者が亡くなったときはその不動産を売却することが前提となりますので、相続によって、その不動産を受け継ぐ予定の人にとっては、引き継ぐものの価値が減っていくことになりますので、相続人の承諾が必要になります。また、将来の不動産価格の動向や年齢など不確定な要素を考慮しながらこの制度の利用を考えなくてはなりません。



貸し手側の問題点

@借り手側の長生きによる担保割れ
A地価下落による担保割れ
B金利上昇による担保割れ
RMは貸し手側にとっても不確定要素がたくさんあります。アメリカなどでは政府が貸し手を保護するための再保険制度による保証が整っているので金融機関も安心して融資を行えます。ところが日本ではこの保証制度もまだ整っていないので民間金融機関がこの融資を行うことには消極的で、一部自治体等での実施にとどまっています。

 借り手側、貸し手側双方にとって、不動産価格の上昇が予想される局面では利用しやすいといえますが、現在のような資産デフレ状況では、利用が広まらないのが実情です。将来、地価下落に歯止めがかかったときには老後設計のひとつとして、大きな選択肢になり得るでしょう。


物価連動型住宅ローン

物価連動型住宅ローンは、消費者物価指数や地価などの一定の指標の動きに応じて、借入元本を増やしたり、減らしたりしようとするもの。現在考えられているものとしては、金利は固定金利で利子は元本の増減に合わせて定期的に再計算する方式。
 このローンの最大のメリットとしてはデフレ傾向が強まれば強まるほど、利用者の負担が減るということ。逆に、大きなリスクはインフレになったときに負担が増大するということ。
 これは、現在のような資産デフレのなかでも不動産取引が活発に行われるようなるようにと考えられ始めたばかりです。インフレの時の借り手保護などの大きな問題もあり、今後の導入については不確実...

「リバースモーゲージ」を中心に不動産にかかわる新しい形に触れてきました。不動産は今や「終の棲家」から利用する時代になっています。若年からの将来を見据えた資産形成や住み替えの計画、熟年からの老後を見据えた買い替えや住み替え計画、壮年からの老後や相続を考えた計画。これらの計画をより適切に、より確実に実現するためのひとつの手段として、不動産購入や売却を位置づけることも大切になってきています。今回のテーマは今のところ広く普及しているとは言えませんが、将来的な計画を立てるうえで不動産を活かすという場面において一助となることでしょう。

編集後記
 昨年は桜の見ごろが早く終わってしまい、各地の桜祭りが中止になったり、桜のない桜祭りになったりでちょっとした話題になったのが思い出されます。昔から思い通りにならないのが、お天気と女心。最近では「株価」「国際情勢」「不良債権処理」「お父さんのお小遣い」… 考えてみれば、昔から思い通りにならないことの方が圧倒的に多いですね。



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