〜「不動産の概要表示」について!〜 (住まいるクラブ 2003年5月号 特集記事) 立春から数えて八十八日目の日。現代の暦でいうと5月2日頃。歌にもなっている「八十八夜」を過ぎると夏ももうすぐ。木々の緑もいよいよ濃くなって、会社や家のなかに閉じこもってばかりいるのももったいないような季節になりました。 4月29日の「みどりの日」からスタートして5月3日「憲法記念日」5日「こどもの日」と続くゴールデンウィークの予定はいかがですか、今年は休みが連続してなかったり、海外旅行が戦争や病気の影響で敬遠されているようですので、最近の傾向でもある「安・近」に例年以上の人気が集まるのでしょうか。「安く」ても「近く」ても、たまには心身ともに思いっきりリラックスしたいですね。 さて、今回は「不動産の概要表示」について触れていこうと思います。不動産の購入や売却を検討するときに不動産営業担当者にもらった資料や広告を参考にしながら検討を進めることは多いですが、不動産の独自の表示などもあって解りにくいものもたくさんあります。最終的にはプロのアドバイスを受けるにしても、情報整理の段階で基本的なことを知っておけば効率よく自分の希望も整理できます。まだまだこれからの人も、検討中の人もチェックしてみてください。 小泉改革の成果(?)でしょうか。ここ最近、公示価格の発表が早まっているような気がしますが、やはり今年も下落傾向でした。依然として銀行金利の低水準も続いていますし、今年は住宅取得にかかわる贈与税の非課税枠も大幅に拡大しましたので、購入や買い替えをするのには引き続き好条件の環境と言えます。 そこで今回は、不動産の購入や売却をするときには誰もが目にする、概要資料の記載内容について解説いたします。基本的なことが解ってくると、資料だけでも自分の考えていることの整理がついてきますので、資料をお持ちの方は資料を片手にご覧ください。 価格の表示と消費税 資料を見て一番気になるのはなんと言ってもその価格。実は、この価格には消費税が含まれる場合があります。消費税については次のような事を覚えておくと便利です。 @土地は消費税は課税されない。 A新築は建物価格の5%が消費税。 個人が売主の場合は土地も建物も課税対象外ですので、課税されません。したがって、不動産の価格表示は内税の表示が義務付けられていますので、「価格○○○○万円(税込み)」となっているときは、売主が個人ではなく不動産業者であることがほとんどです。 一戸建てやマンションの場合には消費税は価格に含まれていますが、土地を購入してから後から建物を建てる場合には、その建物価格に対して課税されますので注意が必要です。 歩いて何分? 不動産の物件概要は駅からの距離を「徒歩○○分」というように時間で表示されています。でも、なかには「本当にこんな時間で?!」と感じることもあります。 @80mを1分で表示しています。 A駅は入り口までの距離で計測。 Bエレベーター、信号、坂などは考慮されていません。 以上のようなことを覚えておけば、後で後悔することもありません。良く知っている場所ならば、すぐにわかりますが。始めての場所では「実際、歩いてみたら遠かった」ということのないように、気になる物件があったら歩いてみるのもひとつの方法でしょう。 容積率と用途地域 土地の広さに対して 延床面積(2階建は1階と2階の面積を足した面積)をどこまで建築できるかの上限の割合のことを容積率といいます。 「容積率80%」という表示がある100uの土地に対には延床面積80uが上限になります。このとき、間取りの希望が80u以上なら土地を広くするか、容積率の制限が緩やかなエリアの土地を探さなくてはなりません。 この容積率は用途地域とも密接に関連してきます。土地の利用状況をこの用途地域で制限しています。この用途地域は全部で12種類ありますが、大きく分けると「住宅地域」「商業地域」「工業地域」の三つです。 たとえば住宅地域のなかでも「第1種低層住居専用地域」では容積率の制限が厳しく、高い建物は建てられませんが、周りにも高い建物がなく、将来も町並みが維持されるというメリットがあります。 一方、容積率の制限が緩やかなエリアでは高い建物を建てられる代わりに、周りにも商業施設などの高い建物が建っているか、建つ可能性があるということです。 予算、広さ、場所、間取り、環境を考えるうえで、この「容積率」と「用途地域」は非常に重要なポイントになります。 建物の築年数 中古建物の購入を検討するときは、建築当時のグレードや利用状況によってかなりの差がでます。古いからといって、選択からはずすのではなく、環境や希望の間取りなどから選択したほうが賢明です。 新築を検討する場合には完成時期に注意しましょう。完成済、着工済、未着工かによって引越し時期が大きく変わってきます。 今や土地はバブルのときの半分以下になりました。が、一方ではいくらデフレ傾向といっても、設備が充実してきている分、建物の総額はバブル期とそんなに変わっていません。ということは不動産の総額に対して建物が占める割合が大きくなっているということです。建物選びはより慎重に行いたいですね。 土地の正味って? 「セットバック要」という表示を目にすることもあります。 敷地の前の道路が4m以下の場合には公法上、自分の敷地を一定の距離まで後退させる必要があり、自分の敷地なのに使えない部分が生じます。これをセットバック部分といいます。 セットバックの必要がある土地は、この部分を除いた面積が「正味の土地面積」で利用できる土地となります。 また、勾配の多いエリアでは「法地(のりち)○○%有」などの表示を目にすることもあります。これは敷地の一部に傾斜地が含まれることを意味します。これも法地を除いた平坦な部分が「正味の土地面積」となります。 その他にも正味の土地面積は減らないけれども、土地の形が変形しているので付近の土地価格よりも割安で売りに出されていることもありますので、広いから良いといことでもありません。 その他の設備や環境 マンションは駐輪場、駐車場、管理会社、管理費、修繕積立金の状況など。一戸建ては水道、下水、ガス、駐車スペースの状況など。 両者に共通するものでは近隣の環境、公園、病院、公共施設等々検討すべきたくさんの内容が物件概要に記載されている事もあります。また、マイナス要因も表示されている事もあります。 特に不明な点は、あいまいにしないで、担当者に確認するなどしておきましょう。 ただ、ここであまりにも多くのことにこだわりすぎると、希望する予算やエリアとかけ離れたりしますので、自分の希望の優先順位を明確にするのが肝要です。 新聞折り込み広告、不動産情報誌、ポストへの投函チラシ、インターネットなどなど、カラフルで豊富な情報を得ることに関しては不動産についても日増しに便利になってきています。ただ、そんな時代でも最終的には信頼できる人間味のある対応が求められているのではないでしょうか。 今回の情報のチェックの仕方にしても、プロの助言を求めながら行なった方がより効率的です。ご自分でやってみて、解らないことはフィーリングの合うしっかりした営業担当(これが大切!)に聞いて助言を求めるのが一番なのは今も昔も変わりありません。 情報をたくさん集めて、検討することも大切です。そして、もうひとつ大切なのは、信頼できるパートナーを見つけること。 編集後記 戦争が始まって以来、テレビに映し出される映像に驚かされます。まるで映画のシーンのように武器が使われ、建物や戦車が爆発炎上しています。 テレビの向こうで起こっていることがフィクションであるかのような錯覚を感じることもあります。仮想空間と現実、フィクションとノンフィクション... 混沌としているのは頭の中身だけでもなさそうな。 |