〜「不動産の買い換え」について〜 (住まいるクラブ 2003年6月号 特集記事) 梅雨の晴れ間には、むんむんとした熱気が地表より上ってきて、もう本格的な夏が近いことを感じさせてくれます。中学生や高校生の白いYシャツも目にまぶしく映ります。 そして、6月には世の中のお父さんと同じように、ちょっと忘れがちではありますが「父の日」がやってきます。今年の「父の日」は6月15日です。最近では、めっきり使わなくなっていますが、父親といえば「一家の大黒柱」とも表現します。この「大黒柱」という言葉。日本家屋の構造上の要となる柱で、これは、かつて、家の要となる柱の横に面して台所が配置されていたことに由来しています。台所には、食べ物を集めてくる神様「大黒天」が祀られていたので、この要の柱を称して「大黒柱」と呼ぶようになったそうです。 最近の家には「大黒柱」と呼べる柱が無い方が多いのですが、皆さんのすぐ側にいる「お父さん」が「一家の大黒柱」なのか、そうでないかはさて置いて、今月からは「不動産の買い換え」についてお送りいたします。家選びにも「大黒柱」と同じように、その要となるものがありますので、しばし、一緒にお考え下さい。 今月の <注目 NEWS> 「住宅着工戸数3年連続減少」 国土交通省がまとめた平成14年度(平成14年4月〜同15年3月)の新設住宅着工統計によると。総戸数は前年度比2.4%減の1,145,553戸で3年連続減少し、昭和58年度以来、19年振りの低水準になった。貸家は2年連続で増えたが、持ち家や分譲マンションなどの着工戸数の減少が影響した。持ち家は前年度比3.1%減の365,500戸。 「各国に比較すると、日本の貸家は依然として狭い!?」 同じく、国土交通省はこのほど、日本とアメリカ、英国、フランス、ドイツの欧米主要国の住宅関係基礎データを取りまとめた。それによると、住宅ストックに対する年間住宅着工数は2.3%と5カ国のなかで日本が最も高い。一方、住宅の床面積に注目すると、日本の1戸当たりの平均床面積は、持ち家が122.7uで5カ国中ほぼ平均的な広さであるのに対し、借家は44.5u(5カ国平均約75u)と極端に狭い。同様に1人当たりの平均床面積も5カ国中日本が1番狭く32.8uとなった。逆に極端に広いのはアメリカで1戸当たり平均が157.2u、持ち家が167u、貸家が120.6uとなっている。 <トレンド> 住宅着工戸数については、雇用や将来の収入不安からの建て替えや新規建設意欲が後退している事を反映し、3年連続の減少で38年ぶりの低水準に落ち込んだ。一方、全体の住宅着工戸数は減少しているものの、貸家の着工戸数は2年連続で増加傾向を示した。 ただし、その貸家の床面積の条件を他の国と比較してみると、相変わらずの悪条件としか言いようがない状態が改善されていない。 建物建築費の下落、低金利、定期借家権の普及、地価下落など、貸家の供給条件が良くなる環境が整ってきてはいるので、今後は改善傾向にあることが予想はされているが、まだまだ時間はかかりそう。 今月のトピックス <あなたも買い換えができる!!その1> 賃貸と購入ではどちらがお得か?という記事を目にされることも多いことと思いますが。それでは、すでに所有されている方はどうでしょうか? 購入後○○年経過して、そろそろ補修しなくてはならない個所も目立ってきたし。リフォームをするにも資金が必要だし。そんな悩みを持っている方も多いはず。今回と次回では、そんな悩みにお応えいたします。 買い換えには好条件がそろっている! 不動産の価格は下がっているし、自分の家は思うように売れるはずもないし、一生ここに住み続ければいいや。と、新聞に折り込まれている不動産の広告を右から左へ片付けてしまって自宅の買い換えは遠い昔に忘れている方も多いはずですが、ちょと、考えてみて下さい。購入当時に借り入れた住宅ローンの金利は何%ですか?本当に自宅は売りにくいですか?当時と比べると同じ金額で、もっと良い条件の不動産が売りに出ていませんか? 確かに不動産の価格は下落して底が見えない状態が続いているので、買い換えには不利なようにも感じますが、本当のところはどうなのでしょうか。 自宅を買い換えることを考えるとき。自宅が高く売れればそれに超したことはありませんが、自宅が高く売れる時は購入する家も高くなっているということ。 更に不動産が高い時は、住宅ローン金利が高い、税制面の優遇が少ない、希望金額に対して物件情報量が少なかったり、条件が悪いものが多いなど、家を購入するには良い条件が整っているとは言えません。 つまり、売却するにはあまり良くない時こそ、購入するには好条件がそろうということ。売却計画と購入の返済計画がしっかりしていれば、今は絶好の買い換え時期と言えます。 まずは住宅ローンの残高の確認を! 間違いない売却計画を立てる時の第一歩は、購入した時の住宅ローンの残高が現在、どのくらい残っているかを確認することです。まずは契約書類のファイルから銀行から送られてきた返済計画表を探し出してみましょう。そこには返済額のうちの金利と元金のそれぞれの金額が書いてありますし。各返済が終了してからの借入残高が明記してあります。どうしても見つからない時は有料の場合もありますが、銀行にお願いして確認しておきましょう。 借入残高の額面は売却した時点で銀行に返済しなくてはならない金額です。言い換えると、銀行にその金額を返済しないと売却ができないという事になります。 売却予想価格を知ろう! ローンの借入残高が明確になったら次に重要なのはご自宅の売却可能額を知ることです。 インターネット、新聞の折込広告、住宅情報誌などで近隣に売りに出されていてご自宅に似ている不動産を参考にする方法もありますが、広告に掲載されている売り出し価格でそのまま売れるのかどうかも判りませんし、不動産は近くにあっても条件が少し違っただけで売却可能額が大きく違うこともありますので、やはり、専門家である不動産仲介会社にご自宅の売却可能額の調査を依頼するのが一番です。 不動産会社では一般の消費者では知ることのできない、過去に売れた不動産に関しての内容を調べることもできますし、法的な規制や環境なども調べて総合的に売却可能額を算出しますので、自分で判断するよりもより確実です。通常は2、3日の間に無料で算出します。 どうしても不動産会社と話したくないという場合には、最近ではインターネットやFAXを通して売却可能額を知らせする会社も多いので、その方法を利用するのもひとつの手です。 売却費用は? 売却可能額が確認できたら、売却する時の費用も確認しておきましょう。不動産を売却する時には不動産仲介会社に支払う仲介手数料が必要になります。不動産会社に買主を見つけてもらうことを依頼して、実際に買主が現われて契約が成立した時に支払う手数料です。 仲介手数料の上限の計算方法は 売却金額×3%+6万円 と決められています。 その他の費用としては契約書に貼る収入印紙代金です。これは売却金額が1,000万円を超えて5,000万円以下の時には1万5,000円というように売却金額によって変わってきます。 また、売却した時の税金も考えなくてはなりませんが、マイホームを売却した時には3,000万円までの利益に対しては優遇措置がありますし、購入した金額よりも売却した時の価格が下がっている場合は税金が課かりませんので、バブル期以降に購入した不動産に関しては考慮しなくても良いケースがほとんどです。 詳しくは、売却の税金特集を参考にしていただくとともに不動産会社の営業担当の簡単な質問に答えるだけでも確認できますので連絡してみることもお薦めです。 手取り金額を把握しよう! 住宅ローンの借入残高、売却可能額、費用が確認できたら、あとは売却した時の手取り金額を計算しましょう。 売却可能額−(住宅ローン借入残高+費用)=手取り金額 手取り金額がプラスのときは、その金額をそのまま買い換え先の不動産に充当できるということですが、そのような例は今の時代はなかなか稀で、手取り金額がマイナスになる場合がほとんどではないでしょうか。 手取り金額がマイナスになるということは、先にも述べた通り、その金額を銀行に返済しなくては売却ができないということになります。 マイナス分をどうするか? ご自宅を売却したときに銀行に返さなくてはならないお金をどう調達するかが、売却したときに手取り金額がマイナスになる場合の買い替えの成功ポイントです。自己資金や新しい贈与税の相続時精算課税(新税制の特集号をご参照ください)を利用して親からの資金援助があれば安心です。でも、資金の当てが自己資金にも親にもあまり期待できない時でも、買い換えは無理だとあきらめないで下さい。 その理由は各金融機関では現在、ご自宅を売却して住宅ローンが残ってしまう方のために「買い換えローン」を用意しています。これは、単純にご自宅を売却することでは利用できませんので、買い換えをする方だけのメリットです。条件は金融機関によって異なりますので、不動産営業担当を通して確認してみましょう。 ここまで自宅を買い換えるときの売却面での資金確保について考えてまいりました。自宅が売れる金額が買った時よりも下がってしまい銀行ローンが残ってしまったとしても、それが自己資金や贈与資金、または新たな住宅ローンを組み直すことによって、ご自宅の買い換えをすることが可能になります。これを機会に、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか? 次回は銀行の住宅ローンや購入と売却のタイミングのお話しなどを中心に、引き続きご自宅の買い換えについてお送りいたしますのでご期待ください。 編集後記 戦争は予想外(?)に早く終わってしまいましたが、SARSは予想外(?)に長引きそうです。日本もいつまで対岸の火事でいられるか、ニュースを見ていて少し不安になります。 いつの時代でも、早く終わって欲しい事、いつまでも続いて欲しい事は人の思い通りにならないことの方が多いのでしょうか.... |