(住まいるクラブ 2004年9月号) 暑い日がいつになったら終わるのかと思っていても、夜になるといつの間にか虫たちの声が聞こえるようになってきました。気がつかないうちに、少しずつ秋がやってきているようです。また、地上に秋が訪れる頃には、空も澄みはじめて月が綺麗に見えてくる時期でもあります。 今では目にすることも減ってきた光景ですが、9月にはお月見という行事があります。もともとは中国から伝わった習慣で、平安の頃の日本の宮中の行事が、少しずつ一般の人々にも伝わっていったようです。旧暦でいうと8月の15日がその日で、今の太陽暦でいう と、9月の下旬頃にあたります。 お月見では、秋の収穫の感謝の意を込めて、すすきやおだんごをお供えしますが、獲れたばかりの芋をお供えしたりもするので「芋名月」と呼ばれることもあるようです。 夜空を照らす月は、その時々によって位置、大きさや形を変え、昔と変わらず私たちを見つめています。秋の夜にじっと満月を眺めていると、どこからともなく静かな歌声が聞こえてくるような気持ちになりますね。 それでは今月も、食べ物もおいしくなる、秋の夜長のお供にお送りいたします。 今月の <注目 NEWS> 「ローン減税で中古の築年数要件撤廃を要望」 毎年この時期になると来年度の税制改正に向けて、色々なところから要望や提案が出始めます。 その傾向としては、景気があまり良くないときには、景気の刺激策として住宅購入を後押しするような大幅な減税措置の要望が増えて、景気が良いときにはそれほどでもないというものです。 来年度の税制改正については、今のところ国内の景気は良い方向へ向かっていると見る向きが強いようですし、住宅ローン控除については先月もお伝えしたとおり、その骨格はすでに、今年のうちに決まっていることなどから、大幅な改正はされずに、現行の制度の微調整や見直しという内容が中心になることは確実なようです。 そのうちのひとつとして、住宅ローン控除の築年数要件の緩和が注目されています。これは、前から指摘されていましたが、築年数の古い中古建物の取引は今後益々増えるのは確実で、欧米諸国と同じように中古住宅の流通を活発化させていくには、こういった税制面での後押しが必要ではないかと議論されています。 来年度に向けては、その他には、住宅ローン控除で住民税も戻ってくるようにする。住宅ローンの金利を経費として認めてもらい、その年の収入から、差し引くことができるようにするなどの議論がされることが予想されます。言い換えると、それくらいしか議論するネタがないということでもあります。 これから年末にかけて、来年度の税制改正がはっきりしてきますが、今年に関してはいつになく、静かな年末になりそうです。 <トレンド> 今回の調査では、分譲住宅と注文住宅のタイプでは約7割の世帯が資金の一部を借入金でまかなっているとういう結果も出ています。 つまり、借入金の金利は住宅を購入してからの返済計画に大きな影響を与え、借入金利が低いうちに購入しようとする世帯が多かったとも言えます。 ここにきて、借入金利の上昇傾向が強くなってきています。景気が良くなってきているとはいえ、その好影響が家庭まで広まってきているとはまだまだ言い難い今は、借入金利が上昇することによって、住宅購入への需要が弱まるのではないかと心配されています。 同じく、好影響の「住宅取得時の税制等の行政施策」のひとつである「住宅ローン控除」の内容も来年以降の入居に対しては条件が厳しくなることが決まっています。金利や住宅ローン控除などの住宅購入の環境が、今より悪くなる前に購入しようとする、駆け込み需要が増えるか、住宅購入の全体の需要が弱まるかは、これから2、3ヶ月の国内の経済状況と合わせて見守ってみないと判断のつけ難いところです。 何でもQ&A
A.定期借家制度という賃貸借契約の形式を採れば、契約期間満了によって確実に契約が終了しますので安心して貸すことが可能です。 今回は転勤期間中に持家をどうするかのご質問です、戻ってこないことが決まっていれば、売却という有力な選択肢がありますが、戻ってくることが確実なときには悩みどころです。そんな方のためにも今では便利な「定期借家制度」というものがあります。普通の賃貸借とは違うところも、いくつかありますので、以下にはその内容に触れていきたいと思います。 普通の賃貸借契約は? 賃貸住宅に入居している人は、オーナーの都合で契約を終了させたいからと言われても、特別な場合を除いて、希望すればいつまでも入居することが可能です。そこに住み続ける権利は法律的にも認められています。 そして、この形の賃貸借契約がいまでも賃貸住宅の大半を占めています。 一部のオーナーには不利 ただし、今回ご質問いただいている方のように、ある一定期間だけ自分の住宅を貸したいという人にとってこの形は不便なものになっていました。 いつかは自分で使いたいと思っていても、一旦、賃貸借契約を結んでしまうと、入居している人に出て行くのは嫌だと言われてしまうと、我慢するか、もしくは、うまくいっても、費用を負担して転居してもらうかしか方法がなかったからです。こういった、実情は以前から問題視されていましたが、平成12年になって、やっと法律が改正され定期借家制度という形が導入されました。 期間満了で終了する契約 普通の賃貸借契約は契約期間が満了してもオーナーはその契約の更新を断れません。だから、入居している人は希望すれば、いつまでも住んでいることが可能です。 一方、定期借家契約は更新がない契約になります。契約期間が満了したら、そこで確実に契約は終わりになります。契約期間が満了すれば、確実に貸している住宅はオーナーの元に戻って来ます。 入居者の不安 この制度はオーナーには有利ですが、入居者にとっては不安要素が大きいものとなります。契約期間が終わると、そこから出て行かなくてはならないのでは落ち着きません。それだったら、他の普通の契約ができる賃貸住宅の方が安心して住んでいることができます。この心理的な差は入居者にとって大きいものです。 入居者に対するメリット そこで、この制度を利用する場合には入居者にとってメリットを感じてもらえるようなものにしないと、なかなか住みたいという人をみつけることができません。メリットの大きなものとしては家賃が挙げられます。家賃が安ければ、期間は短くても、普通よりも良い環境の住宅に住めるのであれば、好都合という方も多いはずです。また、定期借家制度には更新はありませんが、再契約ということは可能ですので、すぐには出る必要はないけれど、いつか引っ越す覚悟だけ決めておけば大丈夫という形式も考えられます。 つまり、オーナー側の都合と入居者が感じるメリットが合致した条件が契約の内容になるということです。この制度を利用するにはいくつかの制約もありますが、うまく利用すれば、転勤期間中でも安心して自宅を貸すことができます。空き家にしておいても、住宅ローンの支払いは待ってもらえませんので、うまくこの制度を利用しましょう。 今回は転勤を理由に自宅を貸すことを考えているケースでしたが、最近では、子供さんが独立してしまい、二人で住むには広すぎて無用心なので、今よりも便利な場所のマンションに引っ越そうかという方も多いはず。そんなときにもこの制度を使うということも考えられます。一度、皆様の不動産営業担当者と相談されてはいかがでしょうか。 貴方はどっち? 貸家と持ち家 その9 このコーナーでは、前回まで7回にわたって賃貸派と持家派ではどちらがお徳なんだろうといことについて考えてきました。 《価値観の違い?》 お金の話から、設備、周辺環境やトラブルなどいくつかの視点から比較してきました。さて、皆様のお考えでは、どちらに軍配があがったでしょうか? 勿論、最初にも申し上げたとおり、転勤が頻繁な方、どうしてもこだわりがある方など様々な事情があって賃貸住宅が自分に一番合っているという方も多いことでしょう。以前に比べても持家志向の世帯の数は減ってきていることも事実です。 《下がり続ける?》 国税庁が8月に発表した路線価の全国の平均価格は12年連続で下落しました。いくつかの下降局面がありつつも、持っていればいつかは上がるだろうと考えられていた土地も、上がることなんて考えられない状況が続いて久しくなります。バブルの崩壊は私たちの住宅に関する考え方を、根底から覆しました。 日本経済はそのときの負の遺産である不良債権を未だに精算できずに苦しんでいます。個人でも、売るに売れない状態にある方もまだまだたくさんいます。 それでも、少しずつですがマイナス局面は脱しつつあるようです、あと何年後かに更に状況が好転してきたときに、あの年が底だったんだと思える時が近づいているようです。もしかしたら、それは通り越しているかもしれません。あの時こうしておけばよかったと考えても遅すぎます。ご自分のライフスタイルに合った住宅の購入を、もう一度考えてみてはいかがでしょうか? (^.^)/~~~ 不動産のことば 《坪》
「坪」広さの単位で
住宅や土地の広さを表す単位として、未だに頻繁に使われます。土地の価格やマンションの価格も坪単価で比較することもしばしばです。不動産表示ではuに「0.3025」をかけたものを坪単位の広さとして使います。 坪と同じように、長さの単位「間:けん」も今でもよく使われます。1間は約1.81818mです。広さの単位「坪」と長さの単位「間」とは関連があり、1坪は1間×1間の広さです。これは畳2枚分に相当します。つまり畳一枚の長い方の辺が1間で短い方の辺が半間(1間の半分)になっています。 日本の家屋はこの坪と間の単位で建てられてきましたが、欧米の建築様式が入ってきたことやマンションなどはこれらの単位で建築することは非現実的だというようなことから、最近では畳が6枚という部屋でも広さが違うというようなことも、たくさんあります。もっとも、最近では、和室が敬遠されフローリングなどの洋室が好まれて、畳一枚の広さにはあまり関心が払われないようになってきているのが実情でしょうか。 編集後記 今年の夏は記録続きの酷暑でした。アテネオリンピックや甲子園での熱い戦いは、見ていてすがすがしいものがありましたが、この夏の暑さには参ってしまいそうでした。残暑もまだまだ厳しいようですので、健康には注意して、元気に食欲の秋を迎えたいものです。せっかく食べ物がおいしい季節なのに寝込んでいたらもったいないですからね… |