(住まいるクラブ 2006年5月号) 目に青葉やまほととぎす初鰹。木々の緑は目にまぶしく、聞こえる鳥のさえずりは耳に楽しく、味わう旬の肴は舌でおどる季節になりました。春の日差しを受けて、なんとなくぼやっとしていた五感も、はっきりと目覚めていく感覚が体に染みわたるようです。もっとも五感のなかでも味覚はいつの季節でもフル活動という方も多いこととは思いますが。 さて、今の季節の味の代表といえば、先に挙げた句にもあるように「初鰹」。初物を食べると寿命が七十五日伸びるという言葉もあったように、初物は季節を感じるうえでも昔から好まれていました。 この鰹は「勝魚」に通じ縁起の良い魚とされていたこともあって、特に徳川時代の江戸では、一種のお祭りさわぎのようになっていたようです。毎年この季節になると、なんとかして周りの者より早く初鰹を手に入れようと、またある者はどうにかして初鰹を購入する資金をひねりだそうとやっきになって「女房を質に入れてでも」とまで言われたようです。ちなみに、奉公人の年間の給金が三両の相場の頃に一本三両で売れたという記録もあるようです。 それでは今月も、今晩の献立に、あれやこれやと悩む間のお供にお送りしてまいります。 今月の <注目 NEWS> 「住人にとっての景観利益は法の保護対象」 東京都国立市の高層マンションが付近の景観を損なっているとして、近隣住民らがマンション建築会社に建物の一部撤去を求めた裁判の最高裁の判決で「良好な景観の恩恵を享受する利益は、法律上の保護に値する」との判断が示された。 <トレンド> この裁判は2000年1月に国立市から建築確認を受けた分譲業者がマンション建築に着工。2001年の3月に近隣住民らが裁判に訴えていた。2001年の東京地裁の判決では、分譲業者の景観利益の侵害を認定して完成している建物の一部撤去を命じる判決があったが、二審の東京高裁では、景観は行政が保護すべきもので、住民ら個人には景観権は認められないという、反対の判決が出て最高裁の判決が注目されていました。 今回の判決でも違反建築ではなく、景観の権利は侵害されても住民らに対する生活妨害や健康被害は生じないことなどから損害が生じているとはされず、二審の内容が確定しました。ただ、そのなかで景観は「良好な風景として人々の歴史的、文化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場合は、客観的価値を有するとされ景観利益は法律上の保護の対象になるという判断がなされました。 建物とは違いますが、一時期小泉首相が日本橋が首都高速の下にあっては、東京の風景もあまり殺伐としすぎているというような発言をして物議をかもしました。首都高速だけでなくても、日本の街の建物の外観や形状はときに内外から、あまり美しくないと指摘されることも多いように感じます。これは景観に対する認識があまり高くなく、今までの無秩序な開発を容認してきたという実態を反映しています。こういったことが反省材料となって2004年12月には「景観法」が施行され、今後は今回の判例と合わせて、あまりにも付近の景観を害すような建築物の建築が許されないようなケースも増えてくるかもしれません。ただ、それもやっと始まったばかりではありますが… (-_-;) 何でもQ&A
A.公示地価とは、地価公示法という法律に基づいて国土交通省の土地鑑定委員会が鑑定して公表する、毎年1月1日時点の全国の標準地の1uあたりの地価のこと。 都道府県が発表する7月1日時点の基準地の地価と並び、土地取引や固定資産税、公共用地取得などの価格決定の目安となります。 今回は公示地価についての質問です。毎年3月下旬に発表されますが、今年は景気の本格的な回復のニュースに絡んで例年以上に注目されていたようです。ここでは、そのなかでも特徴的な内容を中心に考えます。これからの住まい選びや売却の参考にしていただければと思います。 15年連続 目立つ報道は地価が上昇に転じたという内容ですが、地価の全国平均は15年連続で下落しています。1991年の地価のピーク時に比べると、住宅地は47%下落して、商業地においては74年以降の統計で過去最低の水準になっています。ただ下落幅は住宅地で3年連続、商業地では4年連続で縮小傾向にあり、ここ数年下落の速度が少しずつ弱まっています。 名古屋がすごい 全国で地価の上昇率が一番高かったのがJR名古屋駅前の「名古屋近鉄ビル」の商業地。なんとその上昇率は38%。 昨年2月にオープンした中部セントレア国際空港や同じく3月から6ヶ月間にわたって開催され2,200万人以上を集めた愛知万博など、昨年から注目度抜群ですが、名古屋駅前では、今も世界のトヨタの本社ビルが建設中で、これからの土地需要も旺盛です。ちなみに、地価上昇率トップ10のうち8地点を名古屋市中心地が占めています。これからも名古屋から目が離せません。 今年も日本一は丸の内 日本一地価が高い地点は昨年に続き東京都千代田区丸の内。1uあたりの単価はなんと2,440万円で畳2枚分の広さで約8,000万円。東京都内の商業地で値上がりが顕著なのが表参道の周辺地域。今年2月にオープンした表参道ヒルズの影響もあって3割近くの上昇率を記録。大阪でも2004年に開業した高級ブランド店が並ぶ「ハービスエンド」周辺で2割上昇した地点があった。名古屋、東京、大阪、その他の中核都市の商業地でも地価が上昇する地点が増えている。これは不動産ファンドなどが豊富な資金の運用先を求めて人気のあるエリアの商業地を探していることが要因とされます。 人の動きが集中 一方で地価の下落が依然としておさまらないエリアもあります。下落幅が大きくなっているのは熊本県、香川県、徳島県など。これらの県では人口の流出が止まらず。商業地、住宅地のいずれに対する需要も弱含みで推移することが予想されています。 このように、これからも人気のあるエリアには需要が集中して地価が上昇して、そうでないエリアでは需要が弱まって、益々地価が下がるいわゆる地価の「二極化」の傾向が続くことが予想されます。 住宅地の動きは? 地価の下落が続いた状況下では、都心回帰の現象が顕著でした。郊外よりも都心の便利な場所に移っても、資金的には郊外とそんなに変わらないという値ごろ感が出て、都市部に需要が集中していました。それにつれて郊外の需要が弱まり、地価が都心よりも下落するという構図でした。ところが、最近では都心の商業地やマンション用地の品薄感に影響されて、郊外のマンション用地や住宅地への需要も強まり地価が上昇に転じました。今回の公示地価でも東京圏、大阪圏、名古屋圏の郊外でも、人気があるエリアでは住宅地の地価も上昇しています。住宅ローンの金利も上昇に転じています。国内景気も本格的に回復に向かっています。商業地への需要も相変わらず旺盛です。住宅地の地価上昇の圧力も強まっていると言えます。 バブル期のように、全国どこでも土地を持っていれば値が上がるという状況ではなく、しっかりとした需要に裏打ちされた地価の緩やかな上昇傾向がまだら模様に広がっています。 貴方はどっち? 1月1日と4月1日 一年の始まりと言えばお正月。一年の無病息災を願って初詣にでかけます。ところが、学校や会社は4月1日がスタート。時と場合によっては、一年の始まりの日が違ってきます。そう言えば、欧米では学校がスタートするのは9月1日が多いとも・・・ 場所によっても一年の始まりの日が違うようです。 《平成18年度》 行政区によって違うようですが、5月前後になると毎年の固定資産税の納税通知書が所有者のところへ送られてきます。そこには「平成18年度」と印刷されているはずです。ところで、この平成18年度とは1月1日から12月31日なのでしょうか?それとも4月1日から翌年の3月1日のことでしょうか?普段の生活にはまったく関係ありませんが、不動産を売ったり買ったりするときには気になります。 《その他にも》 不動産の売買では固定資産税の日割精算が必要になるので、一年の始まりが1月1日か4月1日かで負担額が変わってきます。実はこの精算するための一年の始まりの日には特別な決まりはありません。エリアによって決め方に慣習があるだけという曖昧なものです。 少し話が飛躍しますが、本屋さんに並べられている手帳も1月スタートのものと4月スタートのものがあります。一度使い始めてしまうと、途中から切り換えるのは辛いものです。今回の話も、ばらばらに決め事が始まってしまって、後から決めようとすると混乱が起きてしまうから曖昧にされているのかもしれません。 とこれで皆さんは、手帳をお使いですか? それは、1月スタートですか、それとも4月スタートですか? (・・? 不動産のことば 《オープンハウス》 販売しようとする物件の内部に、事前にチラシなどで告知した一定の時間、営業担当者が物件に常駐して、来場希望顧客に公開するという販売促進活動のこと。主に中古物件の販売促進方法としてアメリカで始まった手法。 中古不動産の売却物件では、売主さんがその建物に住まわれていることがほとんどです。したがって、購入希望者が物件を見学するには事前に売主さんの予定を確認してから見学するに日時の予約をしなければなりません。突然でも売主さんが在宅されていれば見学できますが、売主さん側から言えば、やはり突然人が来るよりも、前もって知らせてもらえた方が、掃除などの準備もすることができるので安心です。 オープンハウスという販売促進方法は、できれば好きな時間に気軽に建物内部をゆっくり見学したいという購入希望者の願いと、できればちゃんと準備をしたうえで綺麗な状態で、より多くの人に物件を見学しに来て欲しいという売主さんの願いの両方をかなえることができるというメリットがあります。 アメリカ映画などでよく目にする光景として、広い庭先に不動産会社の名前と一緒に売出中の看板が出ているのを記憶していませんか?日本人には家を売ることをあまり知られたくないという傾向があるそうですが、庭先の看板も、このオープンハウスという手法も不動産の売却情報を近隣の人に知ってもらって、より早い売却につなげる有力な販売促進方法です。皆さんも、皆さんの街でオープンハウスの看板を見かけたことがあるでしょう。 編集後記 ドライブやキャンプの季節がやってきました。自然に親しむアウトドア派にとっては待ちに待った季節です。普段の生活を一切忘れて自然のなかに身をおいていると、体の内部にも新鮮な空気が染み込むような気がして、心も洗われるような気がします。寒がりや暑がりの、にわかアウトドア派でも今の季節なら耐えられます。 (^^ゞ |